アウディといえば、クワトロやオールアルミボディを思い浮かべる人が多いでしょう。最近ではヘッドライトといえばアウディというほど、その劇的な進化ぶりには目を見張るものがあります。
アウディR8には世界で初めてオールLEDヘッドライトを採用し、2012年にはダイナミックターンシグナルも搭載。
さらに、今年3月にビッグマイナーチェンジを受けた新型アウディA8では、約10億通りもの照射パターンを持つマトリックスLEDヘッドライトを採用しています。
そして今回、アウディR8 LMXでは、ハイビームにレーザースポット技術を搭載。
これは照射距離を大幅に広げる技術で、アウディR8 LMXのようなスーパーカーにとって理想的なライトになるそうです。市販車以外でアウディが搭載したのが今年のル・マン24時間レースの覇者になったアウディR18 e-トロン・クワトロ。
そのヘッドライトはLEDとレーザービームの組み合わせで、レースを走る実験場とするアウディらしい試みでしたが、見事にル・マンを制覇。ライティングで最大の照射範囲、距離を得ることはレースドライバーにとって大きなアドバンテージとなり、とくに夜間の走行において通算13勝、5連勝というアウディの勝利の重要なファクターとなったそうです。
今回早くも、全世界99台限定のレーザーヘッドライトをアウディR8 LMXにも搭載することになりましたが、冒頭に示したようにアウディでは、「ライティング技術におけるアウディの優位性を示すものであり、この技術がオーナーにもたらす安全性は、まさにVorsprung durch Technik(技術による先進)を体現するもの」とレースで成果を得たこともあり自信を示しています。
新しいレーザーハイビームでは、ヘッドライトにつきひとつのレーザーモジュールが、オールLEDヘッドライトの2倍の範囲で光を照射。
各モジュールは 4つのハイパワーレーザーダイオードからなり、わずか300ミクロンという小さな径のレーザーダイオードが、450ナノメートルの波長の青いレーザービームを発します。
蛍光体コンバーターがこれを路面照射に適した色温度5500ケルビンの白色灯に変換。これは人間の目にとって理想的なもので、ドライバーが明暗のコントラストを認識しやすく、疲れを軽減するというメリットがあるそうです。
車速60km/h以上で稼働するレーザースポットがアウディR8 LMXのLEDハイビームを補完し、視認性と安全性を大きく向上。
カメラベースのインテリジェントセンサーシステムが他の走行車両などを認識し、当然ながらこれらに照射しないよう自動的にライトパターンを制御します。
アウディR8 LMXのエンジンは、5.2L V10で、最高出力419kW(570hp)、最大トルク540Nmを誇り、0-100km/hはわずか3.4秒で加速。最高速度は 320km/hで、100kmあたりの平均燃費は12.9リッター(1kmあたりのCO2排出量は299g)。
トランスミッションは7速Sトロニックで、駆動方式はもちろん「クワトロ」のフルタイム4WDです。
ボディカラーは「マコウブルークリスタルエフェクト」で、リヤアクスルのダウンフォースを向上させるリヤスポイラーを装着し、サイドのフリック、エンジンカバー、ディフューザーなどはカーボン。
インテリアは黒にブルーのアクセントが特徴で、黒いバケットシートをベースにセパンブルーのダイアモンドパターンステッチを施したファインナッパレザー仕様を採用。
また、バケットシートの背面はボディ色と同色になっていて、センターコンソールやパーキングレバーなどコクピット周辺にはマットカーボンを使用し、スペシャル感を演出しています。
そして、ドライバー側には特別なアウディR8であることを示すシリアルナンバー入りのスカッフプレートを配置。
アウディR8 LMXの日本への割り当ては全世界99台のうち6台で、価格も特別なR8にふさわしい!? 値付けで2905万円です。
アウディ『R8 LMX』画像ギャラリー ─ 世界初のレーザーハイビーム搭載車
https://clicccar.com/2014/05/16/255544/
世界初レーザービーム搭載「アウディR8 LMX」世界99台限定
https://clicccar.com/2014/05/15/255519/
(塚田勝弘)