新型WRX。S4とSTIの違いはエンジンとトランスミッションだけ……だと思ったら大間違い!

ついにお待ちかねの新型WRXが日本でも正式発表されました。グレード構成をみると、大きな柱として「WRX S4」と「WRX STI」が用意されていますね。

では、両者の違いは一体どこ?

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最大の違いは、トランスミッションです。「S4」には(WRX史上初の)CVT、「STI」には6速マニュアルを組み合わせているのです。

エンジンも「S4」には次世代の直噴ターボFA20、「STI」は伝統のEJ20と異なるのですが、これはトランスミッションとのマッチングを考えたセレクトと思っていいでしょう。ATには低速からトルクが厚いFA20のほうが適しているし、MTでエンジンをガンガンまわして使うなら高回転寄りのEJ20というわけ。「STI」は競技でも使うことになるから熟成が進んで過酷な状況でも信頼性が高いEJ、という事情もあるでしょうけど。

いずれにせよ、「S4」と「STI」はトランスミッションの好みで選び分けるのが王道です。

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でも、それだけじゃありません。デフが違うんですよ、センターデフが。

「S4」にはVTD-AWDと呼ぶ、前45:後55の前後トルク配分を基本に可変制御するシステムを採用。対して「STI」には機械式と電子制御の2つのデフを組み込みトルク配分を前41:後59から前後直結状態までコントロールして走りに応じたトラクションやハンドリングを作る凝りまくりの「DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)」を組み込んでいるんです。そのうえフロントにヘリカルLSD、リヤにトルセンLSDまで装着。限界領域になれば、違いは明確にわかることでしょう。

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さらにいえば、「STI」では標準車でも倒立式ダンパーを使っているのをはじめ、パワーステアリングをフィーリング重視の油圧式(「S4」は電動式)とするなどハンドリングでも差別化。「STI」はよりシャープな味付けになっています。

そして最後に、忘れちゃいけないのがブレーキ。「STI」はフロントが対向4ポット、リヤに対抗2ポットのキャリパーを組み合わせたブレンボ製ブレーキを採用。そして、パーキングブレーキは「S4」がスイッチ操作の電動式なのに対してコンベンショナルなサイドレバー式となっているのです。これが何を意味するのか? サイドブレーキを使った、いわゆるサイドターンができるのは「STI」だけってことなのです。

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というわけで『「STI」にするか「S4」か?』で悩んだ時には思い出してください。サイドターンをするつもりなら、絶対に「STI」を選ぶべきですよ。

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 (工藤貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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