発表間もない1.2ターボカングーにフランスで乗ってきた

ルノー・カングーに5月17日に追加発表されたばかりの1.2直噴ターボエンジン搭載のモデル「ゼン 6MT」。

この新型モデルに、日本での発売に先駆けてフランスで乗ってきましたので試乗記をお届けします。

 kangoo1.2 6mt

結論から先に申し上げますと、このH5F型エンジン、とんでもない実力の高さを持っています。いくらターボ付きとはいえ1.2リットルの小排気量エンジンですから、重いカングーの車体とどうマッチングするのかと思いきや、そんな心配はまったくの杞憂に終わりました。

一般道から高速道路までまったくなんの痛痒もなく、というよりパワフルに走ります。何しろフランスは一般道でも最高速が90km/h、高速道路では130km/hなので、日本よりも高速性能が強く求められます。

しかもそれは単純な最高速ではなく、丘陵地帯の上りや高速道路での追い越しでギヤを変えることなくアクセルの踏み増しだけで瞬時に速度を増加させるための、高い加速性能も同時に求められるのです。

これらの点においてカングー・ゼン 6MT(以下、カングー・ターボ)はすべてにおいて優秀な性能を持っていました。

115ps、190Nmの出力はスペックだけ見るとアンダーパワーのようにも思えますが、実際には最大トルクは2000rpmで発生されますので、アクセルを強く踏み込む、という場面があまりありません。

さらに重要なポイントとしては、その出力特性があまりにもドライバーにとって自然なため「ここで速度を上げたいな」と思ったときには既にその速度に至っている、という感じです。

また、ステアリングフィールやサスのショック吸収具合も初期の2代目モデルからすれば格段に上がっているため、ハンドリングも含めてすべてが自然(ただしこれは全カングーにおける進化なのか、エンジンが変わったことによってそのように感じたのかについては確証がありません)。総じて、エンジンが小さくなったにも関わらず、クラスが上がったかの印象があります。

ただし従来の1.6リットル・ガソリンエンジンに比べると、高回転の伸びは今ひとつ(5000rpm手前で頭打ち感があります)ですから、カングーのMTモデル購入を考えている方は、両エンジンともに試乗してみることをおすすめします。

(宇並哲也:エンスーCARガイド)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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