D1GPを楽しむためにまずは知っておきたいこの4人

こんなにキャラが立ってるモータースポーツはほかにない!

D1GP開幕戦まであとわずか。そこで、数回に分けてD1GPをより楽しめる情報をお届けしましょう。

D1GPの大きな魅力に、選手たちのキャラクターがあります。D1は単純な速さではなくパフォーマンスを競うものなので、選手も個性を前面に出したほうがアピールしやすいってこともあるかもしれません。それならば、各選手のキャラを知っておくと、D1をより楽しめるってわけです。そのなかでも今回はまず「レジェンド」の呼び名にふさわしい4人を紹介しましょう。

織戸学(MAX ORIDO RACING)

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スーパーGTに参戦しているレーシングドライバーとしても有名ですね。日本のドリフト文化は”ドリキン”土屋圭市氏が火をつけたといっても過言ではありませんが、土屋圭市氏は”ドリフトがうまいレーシングドライバー”でした。しかし、織戸学は”ドリフトあがりのレーシングドライバー”第1号です。

ドリフトが峠や埠頭で行われる夜遊びだった1980年代末に、『CARBOY』誌が初めてサーキットで合法的なドリフト大会を開催しました。その初代グランドチャンピオンが織戸学なのです。そして織戸はその優勝をきっかけにレースの世界に入り、日本のツーリングカーレース最高峰であるGT500のワークスドライバーにまで登りつめたのでした。ドリフトはその後あまりやっていなかったのですが、2005年に選手としてD1に復帰。現在に至っています。高い進入速度とコーナリングスピードを誇るレーシングな走りが魅力です。現在はアメリカンV8エンジンを積んだ86に乗ります。

野村 謙(PACIFIC RACING TEAM with BLITZ)

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ニックネームは「のむけん」。ドリフト界が生んだスーパースターです。もともとは九州の峠のドリフトの草分け的な存在でしたが、1990年代初頭、ビデオOPTIONのドリフト大会「いか天」に登場すると、そのきわめてユーモラスなキャラと独特のパントマイム、そして卓越したドリフトテクニックで一躍有名になりました。フリートークの面白さはとにかく絶品。いっぽうで実際は人格者であり、多くのドリフト選手に慕われています。

ドリフトでの功績も大きく、「カッコいい」「美しい」といった抽象的な尺度しかなかった初期のドリフト審査に、「飛距離」と「角度」というキーワードで定量的なドリフト評価の概念を持ちこんだ人物でもあります。またスピード重視だったD1初期の時代に、角度と白煙をアピールし、D1のパフォーマンス性を大きく引き上げたということもありました。現在は、トヨタの直列6気筒エンジン2JZを搭載した86で参戦しています。 

熊久保信重(YUKE’S チームオレンジ)

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ドリフトの普及、ビジネス化などに大きく貢献した人物です。自身が福島県エビスサーキットの支配人だったため(現在はオーナー)、まだ各地のサーキットがドリフトを拒否することが多かった1990時代から、いち早くドリフトを容認し、ドリフト関連のイベントを開催し、多くのドリフターを受け入れて、エビスを東日本のドリフトの聖地に育てました。自身もCARBOYドリコンやビデオOPTIONのいか天で全国優勝し実力を証明しましたが、それと同時に、ドリフトショーを興業として成立させることに成功し、自身がオーナーを務めるチームを率いて海外で多数公演を行ってきました。また、エビスサーキットには常設のドリフトスクールを設けて、国内外のドリフターを育ててきました。

本人はとにかく追走が得意。その追走テクニックを駆使して2006年と2012年の2回、D1のシリーズチャンピオンを獲得しています。今季はV8エンジンを搭載したシルビアを投入する予定ですが、開幕戦には間に合わないかも?

今村陽一(OTG Motor Sports)

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上の3人より少し若いですが、この男もまた1990年代中頃から活躍するドリフター。その時期ドリフトはシルビア/180SX全盛期となり、パワーで劣るハチロク(AE86)はすっかり減ってしまいましたが、当時まだ20歳そこそこでありながら、ただひとりハチロクで気を吐き、アクセル全開度の高いドリフト、多少のコースアウトをものともしないイキのいい走りで活躍しました。ちょうど漫画『頭文字D』の人気が盛り上がってきた時期でもありますが、この男もハチロク人気復活にひと役買ったといえるかもしれません。

D1GP初年度もハチロクで参戦し、最後までチャンピオン争いをした走りは見事でした。またその後はモータースポーツとしてのドリフトにいち早く適応し、通算4回のシリーズチャンピオンという金字塔を打ち立てました。昨年まで6年間シルビアに乗りつづけてきましたが、今季は新チームOTGに移籍し、NASCARのトヨタV8エンジンを積む86で参戦します。

この4人はいずれもD1GPが始まる前から全国的に知られていたドリフター。むしろドリフトを切り拓いてきたともいうべき世代の大ベテランで、「レジェンド」と呼ぶにふさわしい選手たちです。なんてことを知っていると、ちょっと見る目もまた変わってくるんじゃないでしょうか。

D1GP2014年の開幕戦は、 3月29日(土) 単走日/3月30日(日) 追走日。場所は冨士スピードウェイです。

■D1グランプリの情報、D1公式サイト(http://www.d1gp.co.jp/)へ

■前売り券の購入はローチケ.com(http://l-tike.com/sports/d1/)へ

チケット 前売(土)(日) 2日通し間観戦券 大人 4,800円 小人 2,500円

前売(土) 1日観戦券 大人 2,900円 小人 1,500円

当日(日) 1日観戦券 大人 5,300円 小人 3,000円

当日(土) 1日観戦券 大人 3,400円 小人 2,000円

Lコード: 【2日券】 33100/【1日券】 33101

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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