レーシングカーと電動歯ブラシの対決CMに突っ込みどこ満載!【動画】

最近「くだらないことを本気でやる」CM動画が多いですね。僕はけっこう好きです。この場合くだらなければくだらないほど、そして本気であれば本気であるほど面白いという傾向があるといえます。これもそんなCM動画のひとつでしょう……と、期待して見てみました。「レーシングカーVS電動歯ブラシ」。文字どおり、レーシングカーと電動歯ブラシが、その加速性能を比べるというものです。

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ところが、開始早々疑問が。「日本最高峰レーシングカー」といって出てきたのはGT300のランボルギーニですよね? GT300って、GT500ですらない。いやいや僕GT300は好きですよ。いろんなクルマ走ってるし。でもGT300は300馬力、GT500は500馬力。このクルマのポジションがどういうところなのか、わかりますよね? さらにいえば、スーパーフォーミュラは600馬力以上ですから(しかも車体は圧倒的に軽いので、加速性能はさらに優れている)、さすがにGT300を「日本最高峰」といってしまうのは、だいぶ言いすぎな気がします。

次に、それぞれの最大回転数約8000rpmに達するまでの時間で、加速性能を検証するということです。まぁ、これはいいとしましょう。ただ、「どこから」という定義がない。歯ブラシは停止状態からでいいでしょう。レーシングカーはアイドリングから? それともエンジン停止状態から? するとさっさとテストが始まり、レーシングカーはサーキットを走り出しました。そして「走行後、エンジンの回転をロガーデータから解析」と説明しています。サーキット走行でアイドリング使わないですよね。計測開始ポイントはどこからなんだろう? ますますわかりません。いや、回転の加速度を見るんだったらわかるけど、時間を計測するっていってるし。だいたいエンジンの回転の上がりかたって、コーナーのRとかギヤ比とかで変わってくるけど、いったいどこで計測してるんだろう? もしかしてゼロスタートから1速がフケきるまでかな? で、出た数値が「0.327491」。これを「0.32秒」と読んでいます。四捨五入という習慣には興味がないようです。

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そして、電動歯ブラシ。……これ回転じゃないじゃん。往復じゃん。まぁ、そこはいいとしましょう。おそらく1ストロークで1回転という定義なんでしょう。でも、なんかだいぶグダグダになってきました。で回転数を計測するために画像を解析……って、おい歯ブラシに負荷かかってないじゃん! レーシングカーはサーキットで走ってるんだから、思いっきり負荷かかってますよね? 歯ブラシにも歯と歯茎に押し当てるとか負荷かけないとダメでしょう。これ、いったいなんの性能比較なんだ? それでいて、なんかスタッフは喜んでるし(笑)。そして最後に「その加速性能はF1並み」というナレーションが。あれ、いつF1の話になった?

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このCM大丈夫なんでしょうか? なんかガチで問題アリアリな気がするんですが。それとも、誰が見ても冗談だってわかるから問題にならないんですかね。

でもね、ちょっと苦言を呈したい。かりにも技術力を売りにしようとしているメーカーが、CMでこれだけハチャメチャな実験モドキをするのってどうなんですかね? なんか理系的センスの決定的な欠落を宣伝しちゃってるみたいな感じがするんですが。いや商品自体がシャレなんだったらいいんですけど……えっ、この電動歯ブラシって、もしかしてシャレ? すみません。僕、虫歯にならない体質なんで、電動歯ブラシのことをよく知らず、シャレにマジレスしてしまったのかもしれません。だとしたら恥ずかしい……。

でも、虫歯にはならなくても歯周病にはなるそうなので、虫歯にならない体質のひとも、ちゃんと歯は磨きましょうね。

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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