四輪市場への参入を目論むヤマハ発動機は2輪・3輪・4輪の出展【東京モーターショー2013】

「Revs your Heart」をテーマに、心ふるわせる、刺激的なモビリティを提案するのが2013年東京モーターショー,におけるヤマハ発動機ブースのテーマ。プレスカンファレンス前、明らかに4輪サイズのシルエットを持つモデルにベールがかかっている姿には集まった多くのメディアも刺激を受け、色めき立ちました。その、プレスカンファレンスにおいて、同社の柳 弘之 代表取締役社長は次のように述べています。

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『当社は本年1月からスタートした3ヵ年の中期計画で、「新たな顧客の開拓」と「新規事業の開発」という二つのチャレンジに取り組んでいます。既存の二輪車領域では新たな顧客層にアプローチする複数のモデルを出展するほか、新動力源を用いたスマートパワー分野ではスポーツ志向のEV二輪や次世代の電動アシスト自転車、また三輪コミューターや四輪車といったマルチホイールモデルなど、新規事業の開発に向けた取り組みの一端を紹介しています』

そうして公開されたのが、刺激的な2輪・3輪・4輪のコンセプトモデルです。

まず2輪では、ワークスライダーであるバレンティーノ・ロッシ選手が試乗するムービーも紹介された、250cc2気筒エンジンのコンパクト・スーパースポーツバイク「R25(レーシング仕様)」が紹介されました。

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新興国市場ではフラッグシップ的なスーパースポーツとして、熟成した先進国ではスポーツのエントリーモデルとしてグローバル展開を考えている、新しいクォータースポーツの登場です。

つづいて、3輪へのチャレンジとして紹介されたのがスリーター・コミューター「トリシティ・コンセプト」。こちらは、すでに海外では紹介されているジャパン・プレミアモデルですが、日本での販売を考えていることを発表、その目標価格は40万円程度とアナウンスされました。

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そして、自動車ファンも注目の、ヤマハ発動機の4輪へのチャレンジが「MOTIV(モティフ)」です。かつて、マクラーレンなどでF1デザイナーとして活躍したゴードン・マーレー氏のデザイン会社が提案する鋼管とカーボン素材によるスケルトンフレームに、様々なパワートレインを搭載可能という2人乗り自動車のコンセプトとなります。

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スタイリングやパッケージはシティコミューター的ですが、あくまでも『人機一体感がもたらすドライビングプレジャーを追求する』ことがコンセプトという、ヤマハ発動機のチャレンジが表現されています。

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パワーソースは25kW級のモーターを想定しているほか、リッターバイクのエンジンを活用したスポーツカーへの展開などあり得るといいます。コンセプトの段階ですが、期待は高まります。

●MOTIV主要スペック
全長:2690mm
全幅:1470mm
全高:1480mm
パワーユニット:EV、ガソリンエンジンなど
車両重量:730 kg(出展しているEV仕様)
乗車定員:2名

もともと、北米などではクローズド向けの4輪バギーは展開しているヤマハ発動機ですから、純粋には初めての4輪というわけではありませんが、今回のモーターショーで示したマルチホイール展開は、2輪、4輪ファンともに目が離せません。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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