以前に「水素の液体化で体積500分の1に! FCV(燃料電池車)に革命!!」でお伝えしたとおり、FCV(燃料電池車)の発売を2015年に控え、インフラ整備が進む中、「千代田化工建設」が水素の取り回しを画期的に向上させる技術を開発。
水素を有機溶剤のトルエンと化学反応させて「MCH」(メチルシクロヘキサン)化、液体とすることで体積を500分の1に縮小、この「MCH」を再び特殊な触媒を用いてガス状に戻す「脱水素化技術」を開発したことで、ガソリン同様に水素が常温・常圧で貯蔵&輸送可能になります。
日経新聞がその後の情報として伝えるところによると、川崎重工業が600億円を投じて液化した水素を運ぶ小型船舶2隻を世界で初めて建造、オーストラリア南部のビクトリア州から2017年に水素の輸入をスタートさせる模様。
年間輸送量は計2700トン(燃料電池車の3.5台分/年に相当)で、現地で水素を液化する設備も作るそうです。
豪州産の水素は輸入価格が1m3当たり29.8円と割安感が強く、国内での流通コストを上乗せしても60円程度で、液化天然ガス(LNG)等から生成する現在の国内品の50%程度のコストで済むと言います。
同社は国内海運やガス小売会社と連携して、まずFCV向けの水素ステーションに水素を販売、輸送時の安全体制や販売網を確立した上で、2030年までに16万m3の液化水素を運べる大型船を2隻の建造を予定。
水素輸送時の安全に対応する為、液化水素を積むタンクの外側をもう1つのタンクで覆ったり、2タンク間を真空にして断熱性を高めるなど、既に水素運搬トラックで実用化されている技術を船舶に応用するそうです。
これにより、燃料電池車の300万台/年分の水素燃料が供給可能になる模様。
10月上旬には国土交通省が安全基準づくりに向けた検討会を立上げ、水素タンクの防熱性能や、船舶内で燃えにくい素材の活用を義務付ける基準をつくる見通し。
日本の水素運搬に関する安全基準を国際基準とすべく国際海事機関(IMO)に働きかけて水素輸送船の普及を主導するそう。
このようにFCVが市販される2015年以降の急速な普及に備え、安価な水素燃料確保とそれに伴う水素運搬の安全技術確立に向けた動きも着々と進んでいるようです。
■千代田化工建設 Webサイト
http://www.chiyoda-corp.com/technology/spera-hydrogen/spera02.html
■川崎重工業 Webサイト
http://www.khi.co.jp/csr/creation/social.html
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