三菱eKカスタムのターボチャージャーは三菱製ではない!

日産と三菱自動車工業の合弁会社NMKVが企画した新型軽自動車「日産デイズ」、「三菱eK」が誕生。スポーティモデルとなる「eKカスタム」の試乗と、開発を担当している三菱自動車工業のエンジニア氏に話を伺う機会を得ることができました。

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市街地を30分程度という程度の試し乗りでしたが、とにかく第一印象は「ターボエンジンらしさ」が目立っているものでした。

従来、アイのミッドシップに搭載されていた3B20型3気筒エンジンを、フロントレイアウトに合わせて大きく変更。中身までも見直したという、ほぼ新設計といえるターボエンジンは、いわゆる後方排気となっています。そのためダッシュボードのすぐ裏あたりにターボチャージャーが位置することになるので、ターボチャージャー由来のサウンドが耳に届きやすく、それがいかにもターボエンジンらしいと感じさせるのです。

またボンネットを開けても、過給された空気を冷やすインタークーラーは見えませんが、このクルマではインタークーラーはグリル裏に前置きレイアウトされています。

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そのターボチャージャー、これまでの三菱・軽自動車では当然のように三菱重工の「TD」シリーズを使っていました。しかし、今回はIHI製のターボチャージャー「RHF25」型を採用しています。なお、このターボチャージャーは、ダイハツの軽自動車において実績のあるものだそうです。

変速機も、スズキの軽自動車で実績あるジヤトコの副変速機付きCVTを組み合わせているという、ライバルのいいところをうまく活用しているeKカスタム・ターボ。ターボらしいトルクの出し方をするエンジンを、スムースに加速するCVTで御しながら走らせれば、アイドリングストップ機能が備わらないとはいえ、市街地ではそれなりの実燃費が期待できそうな印象です。非常に短時間の試乗なので、あくまで参考ですが、エアコンを切った状態での区間燃費計の数字は17km/Lに迫るものでした。

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ちなみに、自然吸気エンジンでは採用されている水冷EGRはターボエンジンには使われていません。アイドリングストップがついていないことも合わせて、まだまだ燃費性能に伸び代を残す新世代ターボエンジンといえそうです。 

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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