ホンダF1復帰とNSX復活がハイブリッドというキーワードで結びつくワケとは?

NSXが登場したのは1990年。初代セルシオ、ユーノス・ロードスター、R32型GT-Rという華の89年組ではありませんが、バブル崩壊を91年とするとまだまだ面白いクルマが作れた時代かもしれません。90年生まれにはガルウイングとキャノピーが目を惹いたセラなんてバブルならではのクルマもありました。ちなみにビートは91年5月です。

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スポーツカーでいえば、少し呼び名は変わりましたがロードスターとGT-Rは生き残っています。NSXは生き残れず、2010年以降に予定されていたアキュラNSXは金融危機などの経済的な理由で中止になったこともあります。

復活の話が消えては浮かび……。そして今回めでたく復活となったのは、ホンダのF1復帰とリンクするような話ですが、ともにハイブリッドというエコ技術があったからでしょう。

F1は来年、1.6LのV6ターボに加えてブレーキ(回生)と排熱のエネルギーを回収できる2モーターによるエネルギー回生システムを搭載するという、いわばハイブリッドフォーミュラカーに変革されます。一部報道によると、ホンダがマクラーレンに2015年からエンジン供給するようですが、こちらもハイブリッドというエコ技術が復活劇にあるのは間違いないようです。F1がチャレンジングな「走る実験室」に戻るならホンダも戻るというわけでしょう。

初代NSXに話を戻すと、オールアルミボディのミッドに3.0L V6エンジンを積んでいましたから、前後重量配分やパッケージング面での苦労はあったはず。人が座る場所を確保するとなると、ロードスターのように2260mmという現在の軽自動車よりも短いホイールベースはのぞむべくもなく、ビートのように軽という縛りの中で作るような割り切りもしにくい。また、MR2のように1.5L、1.6L程度だとパワー的にはもの足らない。

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大排気量のエンジンをミッドに積みという手法は、ランボルギーニのようなスーパースポーツカーに最適で、ピュアスポーツというよりも当然スーパースポーツカーになりがちです。その後のNSXは、NSX-Rで約120kgもの軽量化、そして93年には電動パワステや助手席用SRSエアバッグなど、他のスポーツカーと同様に重量増に直結する時代の要請との戦いにハマっていきます。

97年には、MTを3.2Lにアップし、01年にはリトラクタブルから固定式のヘッドライトに変更され、そして2005年12月に生産を終えています。たとえば、フェラーリなど他社への影響を与えたというのは分かりませんが、NSXが名車であることは間違いありません。

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でも、オールアルミというコストの掛かる手法を取ったことで高性能になりながらも、多くの人にとって高嶺の花となり、ロードスターやGT-R(現在は高嶺ですが)とは違った道を辿ったような気もします。

もちろん、S2000やビートも絶版車になっているいまでは、理由のひとつに過ぎませんが。なにはともあれ、復活するNSXがハイブリッドというキーワードで、長い間クルマ好きを楽しませてくれることが楽しみです。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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