いざというとき役に立つ衝突回避支援システム(自動ブレーキ)自動車メーカー別比較!【国産車編】

「ぶつからないクルマ」のキャッチフレーズでお馴染みとなったスバル アイサイト(Ver2)の登場で、爆発的に認知度が上がったプリクラッシュブレーキシステム(衝突回避支援システム)アイサイトの他にも各自動車メーカーから続々と最新技術を投入したプリクラッシュブレーキシステム搭載車が登場しています。

     EyeSight(ver2)

プリクラッシュブレーキシステムとは、クルマの前方をカメラやレーダーが監視。障害物を検知しドライバーがブレーキ操作を行わなかった場合、クルマが自動的にブレーキをかけ衝突を回避したり、被害を軽減させるシステムのこと。

 今回は完全停止機能を備えた国産各メーカーから登場しているプリクラッシュブレーキシステムを比較紹介いたします。

スバル アイサイトVer2

■スバル EyeSight Ver2(アイサイト バージョン2)

「ぶつからないクルマ」とし運転支援システムの知名度ナンバーワンとなるのがスバルのEyeSight(Ver2)。自動ブレーキの作動は障害物との相対速度が30キロ以下であれば衝突が回避、もしくは被害の軽減が可能です。EyeSightの特徴とも言えるステレオカメラを使用するメリットは、ミリ波レーダーでは認識できない歩行者や自転車といったところまで判別できるところ。デメリットとしては悪天候に弱いという点。吹雪や濃霧などの状況ではカメラでの判別は困難になります。カメラでの判別不能時はメーターパネル内の警告灯とアラームにてドライバーに通知し、判別が可能となった場合には自動的に復帰します。

監視デバイス:ステレオカメラ 自動ブレーキ:自車速30キロ以下で停止(歩行者認識) 付随機能:全車速追従クルーズコントロール・AT誤発進制御・車線逸脱警報・ふらつき警報・先行車発進お知らせ機能。価格:10万円 搭載車種:レガシィ(ツーリングワゴン・B4・アウトバック)・インプレッサ(SPORT・G4)・XV・フォレスター・エクシーガ

 

 マツダ i-ACTIVSENSE

■マツダ i-ACTIVSENSE(アイアクティブセンス)

 監視デバイスを多数搭載するのが、マツダのi-ACTIVSENSE。シングルカメラ、ミリ波レーダー、準ミリ波レーダー、近赤外線レーザーの4つを装備し、それぞれが特徴を生かした監視、制御を行います。プリクラッシュブレーキ機能はSCBS(スマートシティブレーキサポート)(4km/h~30km/h)、SBS(スマートブレーキサポート)(15km/h~145km/h)の2つがあり、SCBSは低速域での衝突回避、SBSは中速域で衝突回避支援及び被害軽減といった役割をもちます。SCBSは赤外線レーザーを、SBSはミリ波レーダーを使用することで幅広い速度域をカバーします。2つのセンサーを使い分けることで精度の高い制御を行うことができるのがメリットであり、悪天候時でも威力を発揮します。デメリットは付随機能の為に備わる多くの監視デバイスのために割高になる点。プリクラッシュブレーキ機能を備えるセーフティパッケージ1は15万2250円となり、スバルのEyeSightと比較すると約5万円ほど割高になってしまいます。

監視デバイス:シングルカメラ・ミリ波レーダー・準ミリ波レーダー・近赤外線レーザー 自動ブレーキ:自車速30キロ以下で停止 付随機能(セーフティパッケージ1):追従クルーズコントロール・後側方監視 価格15万2250円(セーフティパッケージ1) 搭載車種:アテンザセダン・アテンザワゴン

 

 トヨタ ドライバーモニター付き プリクラッシュセーフティシステム

■トヨタ 衝突回避支援型プリクラッシュセーフティシステム

現在発表済の運転支援システムの中で、最も贅沢な仕様となるのがレクサス LSにオプション設定される衝突回避支援型プリクラッシュセーフティシステム。監視デバイスにステレオカメラ、ミリ波レーダー、近赤外線を使用し、夜間の認識性を向上させるために赤外線投光器も装備されます。ステレオカメラを搭載することで歩行者も認識し、自動ブレーキは相対速度40km/hまで対応します。もはや死角なしともいえるシステムですが、最大のネックは価格。設定されているのはレクサスのフラッグシップモデルLSのみで、オプション価格は85万5000円。

監視デバイス:ステレオカメラ、ミリ波レーダー、近赤外線(赤外線投光器付)自動ブレーキ:自車速40キロ以下で停止(歩行者認識) 付随機能:全車速追従クルーズコントロール・後側方監視・後方プリクラッシュセーフティシステム
(プリクラッシュインテリジェントヘッドレスト付)・ドライバーモニター・車線逸脱警報・車線維持支援機能 価格:85万5000円 搭載車種:レクサス LS

 

 三菱 e-Assist

■三菱 e-Assist(イーアシスト)

新型アウトランダーより新たに搭載された三菱のプリクラッシュブレーキシステムを備える運転支援システムがe-Assist。ミリ波レーダーとシングルカメラの組み合わせで障害物との距離を計測するのはミリ波レーダー。車線を監視するのはシングルカメラとそれぞれの長所を活かした組み合わせとなっています。時速30キロ以下であれば障害物との衝突を回避、または被害を軽減することが可能です。e-Assistのミリ波レーダーは前方監視用のロングレンジモードと割り込み車両などを監視するワイドレンジモードを常に切り替えながら監視しているのが特徴。 e-Assistの弱点は自車の車速が30キロを超えた場合、静止状態の障害物に対しては緊急ブレーキの作動が行われず、警報のみとなる点。

監視デバイス:シングルカメラ・ミリ波レーダー 自動ブレーキ:自車速30キロ以下で停止 付随機能:追従クルーズコントロール(時速40キロ~設定可能)・車線逸脱警報。価格:9万5000円 搭載車種:アウトランダーPHEV・アウトランダー

 

 ダイハツ スマートアシスト

■ダイハツ スマートアシスト

軽自動車初となるプリクラッシュブレーキシステムがダイハツのスマートアシスト。ミリ波レーダーを使用したシステムでミリ波レーダーが検知するレーダー波に反射鏡によるものと、そうでない物を判別することで、障害物をクルマか否かを判断する仕組みになっています。特筆すべきはなんと言っても軽自動車に低価格で装備された点。機能をプリクラッシュブレーキと誤発進制御、先行車発進お知らせ機能に絞ることでコストを抑えています。

 監視デバイス:ミリ波レーダー 自動ブレーキ:自車速20キロ以下で停止 付随機能:誤発進制御・先行車発進お知らせ機能 価格:約6万円 搭載車種:ムーヴ・ムーヴカスタム スバル ステラ・ステラカスタム

アイサイト ステレオカメラ

各メーカーでそれぞれ異なった監視デバイスや制御を行うプリクラッシュブレーキシステム。今後登場する車種にも続々と採用車種を拡大していく傾向にあります。レクサスに搭載される衝突回避支援型プリクラッシュセーフティシステムが最高水準の安全性と言われていますが、課題は高価であること。

しかし安価なシステムはミリ波レーダーのみの監視デバイスとなり、障害物や前走車への反応はするものの、歩行者や小さい障害物などには反応せず、この辺りはカメラで障害物の認識をするアイサイトに一歩及ばずといった所でしょうか?

万が一前走車や障害物に衝突し、フロントバンパーを交換した場合、車種にもよりますがおおよそ15万円前後。保険として装備することを考えると10万円で装着できるアイサイトが爆発的ヒットを飛ばす理由が伺えます。ただし、カメラのみで監視するアイサイトは悪天候ではカメラでの認識ができなくなるため、この辺りがいかに改善されるかがカギとなりそうです。

(井元 貴幸)