ダイハツとトヨタがインドネシアでピンチ ! エコカー発売に支障 !

以前に「トヨタとダイハツがASEANで新型車生産開始 ! 1000億円投資 !」で触れたとおり、急速な発展を遂げるインドネシアの新車市場に於いて、日系メーカーが占めるシェアはトヨタが36%、ダイハツが15%、三菱が15%、スズキが11%と、全体では90%を超える状態。 

トヨタとダイハツは現地ニーズを色濃く反映した、低価格(75~110万円)&低燃費(23km/L)なエントリーカー「ダイハツ AYLA(アイラ)」と「トヨタ AGYA(アギア)」を現地で昨年中に生産開始して2013年早々に発売を予定していました。 

ダイハツ AYLA

ところが、インドネシア政府が確約していたエコカー販売の前提となる優遇税制が一向に施行される気配が無いと言います。 

当初から政府と歩調を合わせて来たダイハツは既に新工場を完成させ、新規の部品サプライヤーも確保済みで、発売前の「AYLA」と「AGYA」の受注は約3万台にのぼっている模様。 

トヨタ AGYA

とは言えエコカー優遇策に準拠した仕様なので発売出来ず、ダイハツやトヨタ、関連部品サプライヤーも、待機状態に限界を感じている状態とか。

昨年の発表会にはインドネシア産業相や商業相が共に駆けつけ、2012年中の政策発表方針を明言していただけに、期待外れの感が否めません。

ダイハツ AYLA発表会(出展 日経新聞)

日経新聞によると、エコカー減税の施行が遅れている原因はどうやら同国財務省などに有るようで、税収減を嫌う経済省庁間で意思統一が出来ていない模様。

日本でも税収減の手当てがつかないとして重量税廃止が見送られたり、取得税廃止の財源として自動車税増税が噂されるなど、どの政府も自動車関連税への対応は似ているようです。

同国産業省は2012年のインドネシアに於ける自動車販売は過剰気味としており、悪化する交通渋滞やガソリン消費拡大による石油輸入の財政負担などから、従来のエコカー計画そのものに懸念を示しているとか。

現地へのグループメーカー進出を強める計画だったトヨタグループは正にハシゴを外された状態となっており、既に新工場や設備を投入しているダイハツも焦りの色を隠せない状況。

同国政府からの申し入れを受けて開発を進めて来た経緯が有るだけに、このままエコカー優遇策の施行が延期され続ける場合には日本政府が交渉に入る必要性も出そうな雰囲気。

今後のインドネシア政府の対応が注目されます。

 (Avanti Yasunori) 

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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