電気自動車に力を入れる専門学校の出展車両【東京オートサロン2013】

東京オートサロンで密かに名物になっているのが、自動車系専門学校の出展車両たち。

東京自動車大学校が出展するこのFC3S型のRX-7。あまりに美しく仕上がった容姿から、一見ノーマルのレストア車に見えてしまいます。

 

しかし、近づいてよく見てみるとラゲッジから助手席まではバッテリーで埋め尽くされ、ボンネットのロータリーエンジンが納まっているはずの場所には黒い大型モーターが鎮座。いくらコンバートEVといっても、バッテリーやモーターが大げさすぎやしませんか?

実はこのRX-7、全日本EVレースというシリーズ戦をかけて戦っているれっきとしたレーシングマシン。1時間の耐久レースを戦うためにはこれくらいのバッテリーは必要なのです。そして真夏にもシリーズ戦が組まれる全日本EVレースなので、インバーターはボンネットの中にある白い箱に収められ、暑さ対策としてこの箱の中にドライアイスを詰め込むというハードな仕様となっています。おかげで日産リーフや三菱i-MiEVをブッチギル速さを誇ります。

ミッドセンチュリーな雰囲気が漂うこのチョップドルーフのビートルは専門学校国際情報工科大学校からの出展。ボディーメイクは全て学生の手によります。

内装の剥き出し感も計算されつくしたビートルカスタムのハイクオリティな仕上がり。小径のコーン型ステアリングが泣かせます。

 

しかし、キャビンの後に目をやると極太配線とバッテリーが。最初はオーディオ?かと思ったのですが、これは紛れもなくバッテリー。そしてリアのエンジンルームに目をやると、ビックリするほどシンプルなモーターがミッションに直結されています。このビートル、電気自動車にコンクール・ド・エレガンスがあるのなら間違いなく入賞してしまうほどの素敵な仕上がり。

専門学校の先生方にお話を伺うと、電気自動車の整備士は市場では圧倒的に数が少なく、これから力を入れて育てていきたいという分野なのだそうです。そういった整備士の範疇にはコンバートEVの製作も入るとのことで出展車両製作もこれからは電気自動車が増えてくるだろうということ。

そして、これからの自動車は1台のライフスパンが長く、板金職人の活躍が今以上に必要となってくるとのことで、その分野と電気自動車が組み合わさって出来たのが、このビートルだということなのです。

やはり専門学校の出展だけに、これからの人材育成の方向性も見えてくるようです。

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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