人気のハイブリッド車やEV&PHV、改良型ガソリン車である「第3のエコカー」などに続き、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出を大幅に低減したクリーン・ディーゼル搭載車が「第4のエコカー」として注目されるようになりました。
振り返ればダイムラーAGがメルセデス・ベンツEクラスにクリーンディーゼルエンジンを搭載した「E350 ブルーテック」を日本へ導入したのが2010年2月。 3.0L 直噴ターボディーゼルエンジンを搭載し、7速A/Tとの組合わせで5.0Lクラスの動力性能・静粛性と2.0Lクラスの燃費を実現して導入当時大きな話題に。
お値段が約800万円と高額なこともあり、多くの販売台数とまでは行かないまでも、日本では「高級車+ディーゼルエンジン」の組合せがまだ見当たらない段階でいち早く導入した同社の英断が今日の「クリーンディーゼル」人気の礎になったと言っても過言ではないでしょう。
約2年後の2012年1月にはBMWが現行「X5」に3.0Lツインターボのクリーン・ディーゼルエンジンを搭載した「xDrive 35dブルーパフォーマンス」を導入します。
続く8月には新型BMW「320i」にクリーンディーゼル+ターボエンジンを搭載した「320dブルーパフォーマンス」を導入。お値段がガソリンモデル比で+20万円の470万円からとあって大きな注目を集めています。
一方、日本車では2008年9月に日産のSUV「エクストレイル」にクリーン・ディーゼルエンジンが初めて搭載され、「2.0GT」として約300万円で発売されました。また2010年 9月に三菱も「パジェロ」のクリーン・ディーゼルエンジン搭載車を発売。
そしてSUV車へのクリーン・ディーゼルエンジン搭載第3弾として登場したのが、先日「2012-2013 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得した「MAZDA CX-5」。
メルセデス・ベンツ「ブルーテック」の日本導入後、2年が経過して、それまでの「臭い」、「うるさい」、「走らない」といった悪しきイメージが払拭されつつあった2012年2月に登場。
「SKYACTIV-D 2.2」なるクリーン・ディーゼルターボエンジンを搭載してSUVでトップの燃費となる18.6km/L(JC08モード)を達成したのはご存知のとおり。
2.2Lで最大トルクが42.8kg・mと4.0L V8ガソリンエンジン車並みの力強い走りを実現しながらもお値段が258万円からと比較的リーズナブルなこともあって多くの支持層を獲得。
さらにMAZDAは2012年11月に「SKYACTIV-D 2.2」エンジンを新型上級モデル「アテンザ」に搭載して発売。乗用車用として世界で初めて蓄電器にキャパシターを採用した減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」との組み合わせで6MT仕様の場合、ハイブリッド車にも迫る22.4km/L(JC08モード)の燃費を達成しています。
新聞報道などによると、「CX-5」などの人気ぶりを見た三菱が新型「デリカD:5」や、「アウトランダー」にも近々クリーン・ディーゼルエンジン搭載を予定している模様。
一方、欧州勢に話を戻すとBMWがセダンやワゴンなど5モデル、さらにAudiもディーゼル導入を予定するなど、日本市場にいっそうの攻勢をかけて来る模様。
にわかに勢い付く「クリーン・ディーゼル」ですが、その背景には経済情勢を反映して、ユーザーの関心がクルマを所有すると同時に課せられる様々な税金や燃料費などの「維持費」に向けられるようになったことが挙げられます。
車両価格はガソリン車より割高ではあるものの、低燃費に加えて使用燃料自体が割安、且つトルクの太さで同クラスのガソリン車を圧倒する動力性能や静粛性・環境性能などを兼ね備えた「クリーン・ディーゼル」はこの先、ハイブリッド車の牙城をも崩すことになるのでしょうか ?
筆者的には「クリーン・ディーゼル」の台頭により、ハイブリッド車にも「走りの愉しさ」への対応が求められると予想。両者の今後のせめぎ合いが大いに注目されます。
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