STIの「スバル レガシィ2.5i EyeSight tS」はターボじゃなくていいのか?

STIが300台限定でリリースしたコンプリートカー、「レガシィ2.5i EyeSight tS」。

このモデルのトピックをひとことでいうと、「今ドキ」ってことですね。

たとえば装備。車名からも推測できちゃったとは思いますが「EyeSight」(もちろんver.2)が付いています。

STIのコンプリートカーなのに、EyeSight。
走りのSTIモデルなのに、 EyeSight。
やっぱり便利で安全なEyeSight。 

感じ方は人によっていろいろあるとは思いますが、今や「EyeSight」は設定車種においては装着率80%を超えるというスバルを代表する装備。走る悦びを高めたSTIモデルにも……というあたりが時流なのですよ。

ちなみに、EyeSightの制御はベース車と異なる「レガシィ2.5i EyeSight tS」専用プログラム。
車高ダウンしたことでカメラの見え方などが変わっているので、最適化しているのですね。

 

そしてもうひとつの特徴は、エンジンが自然吸気だということでしょう。

実はこれ、ちょっとした革命的な事実なのです。これまでに発売されたSTIのコンプリートカーはすべてターボエンジンで、この「レガシィ2.5i EyeSight tS」はSTIの歴史においてはじめての自然吸気エンジン搭載のコンプリートカーなのです。

どうして自然吸気エンジンなのか?

開発スタッフによると、
「市場環境が変わってきたということです。以前はレガシィの販売のほとんどがターボでしたが、現行型になり主流は完全に自然吸気エンジンになりました。そこで、STIでも自然吸気をやってみようというわけです。また、ターボモデルのtSはすでに発売したので自然吸気エンジンをベースにすることで新しい市場の開拓を狙っています」
とのこと。

つまり、新しい時代にあわせた新しい流れ、ということですね。

もちろんSTIは決してターボが嫌いになったわけではないので、次なるコンプリートカーにはターボエンジンが積まれることでしょう。来年1月の東京オートサロンではその姿が見られるんじゃないでしょうかね。
個人的にはBRZのターボだったらいいな(笑) 

この「レガシィ2.5i EyeSight tS」はマフラーが変わっているもののエンジン系は基本的にノーマル。実際にドライブしたのですが、 高速道路でもワインディングでもSTIモデルらしいスポーティな走りは十分に楽しめましたよ。決して遅くはありません。

ただ、一緒に試乗した編集長は
「やっぱガツン!と来るターボがいいという人もいるだろうね。スバルのフラッグシップがベースで、しかもSTIなんだから、もうちょっとお金を出してもターボを積んだほうが分かりやすいのは事実。でも、それじゃあこの商品コンセプトとまったく違ってくるし、新規顧客にも繋がらない。この時流にあった良さをどうやって広めるかがキーかもね」
と言ってましたけど。

というわけでこの「レガシィ2.5i EyeSight  tS」。限界までの絶対的動力性能は求めずに走りを味わう好事家にこそオススメしたいと思います。

(工藤貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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