「トヨタセリカ」は’70年代のハチロクだった?【国産名車シリーズ】

1970年に登場した初代セリカ。「だるま」の愛称でも知られるご存知、日本初のスペシャリティカーとして一世を風靡しました。その販売方法は画期的なもので、エンジン、ミッション、内装、ボディカラーなどをユーザーが自由に組合せる事が可能な「フルチョイス・システム」を導入。

1967年に登場した本格スポーツカー「トヨタ2000GT」の流れを汲む抑揚の有るボディ・デザインは今回トヨタが久々に本腰を入れて開発したFRスポーツ、86(ハチロク)とも相通じるものが有ります。詳しい解説動画が存在するので御覧下さい。

唯一、フルチョイスシステムで選択できなかったヤマハ発動機製の2T-G型DOHCエンジンは最上級モデルの1600GTにのみ搭載され、後に伝説の名機となります。当時はまだキャブレター方式が主流で、ソレックス製キャブを2連装していました。

2T-G型エンジン諸元
DOHC8バルブ ツインチョーク×2 ハイオク(有鉛)ガソリン仕様
排気量:1.588L  ボア×ストローク:85×70mm  圧縮比:9.8
最高出力:115ps/6400rpm  最大トルク:14.5kg・m/5,200rpm

冬場のエンジン始動にはチョークレバーを引く必要が有り、その際にまるで蒸気機関車のような「シューッ」という勇ましい音を発生。その後アクセルを煽ると、「シュゴッ!」という何ともゾクゾクするサウンドを奏でます。

エンジンスタートや発進時のアクセルワークにもコツが必要で、そのマニアックさがまたオーナーの満足感を大いにかき立てていたのです。

初期モデルのリヤランプはマニアの間では「ワンテール」とも呼ばれ、ターンシグナルランプがテールランプと兼用の赤色点滅タイプでした。その後1972年のマイチェンで独立、アンバー色に改められます。

またマイチェン時にモータースポーツ用ベース車としてラジオレス、ハードサスを採用したGTVが追加に。更に1974年にはフロントノーズを若干延長したタイプも登場。

自身も当時このセリカGTVをWRCカラーに全塗装して乗っていましたが、今でもボディ剛性の高さや豪快なエンジンサウンドが懐かしく、ときおり脳裏をかすめることも。

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/author/avanti

(Avanti Yasunori )

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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