2分でわかる「これがVWとスズキ提携解消の真相!」まとめ

スズキが今回、VWに対して2009年12月に締結した資本業務提携の解消を申し入れた事で、今後のVW側の動きが注目されますが、今一度それまでの経緯を整理してみましょう。

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【当初の提携目的】
・VW:インドなど新興国向けの低価格小型車の開発ノウハウを得る。
・スズキ:VWが持つHV車やEV車の環境技術の提供を得る。
新興国向けの低価格小型車をVWに供給する。

の筈でしたが、提携後 1年9ヶ月が経過してみると事態が変化。

【スズキ側の見解】
・VWの申し入れを受けて、互いに独立したイコールパートナーである事を条件に契約を締結したが、19.89%のマイナーな出資比率ではVWからまともな技術的支援を受ける事が困難である事が判った。

・提携の具体化に向けて交渉を続ける中で、スズキがVWのエンジンを採用した場合、スズキの生産の1割を占める他社へのOEM供給ができなくなるなど様々な制約がある事が判った。

・軽市場やアジア市場で競争力を維持していく為には経営判断における 『自主独立』が不可欠だが、VWが最近になって 『財務的、経営方針上、重大な影響を与える事が できる会社』 としてスズキを位置付け、それを公表。スズキの自主的な経営判断にマイナスの影響が出る事が懸念される状況になって来た。

【VW側の見解】
・業務提携以降、予想以上に具体的な進展が無い。
・スズキが提携後、伊フィアットからのディーゼルエンジン供給に合意した事は契約違反であり、その行為に対し、数週間の改善期間をスズキに与えた。遺憾に思っているが、必要なら状況について協議する用意が有り、提携解消を意図している訳では無い。 スズキの対応を見た後、次の段階について協議する予定だった。 スズキは「依然として魅力的な投資先」。

と言った具合で、何やら当初から妙な業務提携とは思っていましたが、どうやらVW側の狙いがもっと奥深い所に有ったのではないかと思われます。

つまり、ゆくゆくはスズキを自社傘下に収めて、悲願の販売台数世界一を目標である2018年を待たずに早期に達成してしまいたい、それも昨年まで世界一だった競合相手のトヨタが震災の影響から完全復活する前に・・・との思いが見え隠れします。

現にVWが契約内容に反して唐突にスズキを自社傘下如くの扱いに出たのが震災発生直後の5月。あくまで推論ですが、トップスリーの熾烈な世界販売情勢を見れば、それが絵空事では無い事に気付きます。ひと目で最新の世界販売の状況が判るグラフを作ってみたので御覧下さい。

つまりVWにとって、正に今年が、最速で世界一番になれる、またと無い「チャンス」となった訳です。「先見性」に優れている事で有名な鈴木会長ですが、提携時点の2009年には流石に現在の状況までは予測していなかったのでしょう。

VW側もスズキがいきなり提携解消技に出るとは「想定外」だった感も。焦ったVWはスズキとの提携解消を否定しているようです。しかし、その壮大な野望もスズキの反発で叶わぬ夢と化そうとしている・・・ そんなところではないのでしょうか。

鈴木会長はVWの世界販売台数No.1奪取の為に自社が利用されるなど、まっぴら御免との思いが頭をよぎったのかしれません。コトワザで『急いては事を仕損じる』と言いますが、やはり目標達成にはVWは正しいステップを踏むべきでしょう。

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2011/06/23/35723

(Avanti Yasunori )

【画像がすべて見られない方は>>> https://clicccar.com/60918

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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