これぞ日本的!? 大注目の軽自動車デザイン その3 -360cc時代を振り返る- 【CAR STYLING VIEWS 10】

これまで現在の個性的なモデルを紹介してきた軽自動車ですが、ここでは昔の興味深い軽自動車を振り返りたいと思います。かつては現在よりかなり小さいサイズだったにもかかわらず、この余裕のデザイン! 誰もがまだまだクルマに手が届かない時代ですので、頑張れば手の届きそうな軽自動車が続々登場したのは夢のような話だったといいます。だからこそ、今以上に自慢して乗りたいカタチになっているのです。

そんな目で見ると、ここに掲載した一連のモデルのデザインや想像されるコンセプトも納得できますよね。

スバル360 (1958、写真はプロトタイプ) エンジンをリアに配置して、フロントにトランクを確保。全長はわずか3mです。後ろヒンジのドアとして開口部をギリギリまで拡大し、足入れ性をよくしています。VWビートル=かぶと虫に対しててんとう虫とも呼ばれました。

これはスバル360のコンバーチブル(1959)。こんなのもあったんですね。なんか楽しそう。

 

マツダR360クーペ (1960) こんなサイズでリアシートを持つ4人乗りですが、実際には2+2サイズ。基本2人乗りとして優雅なクーペスタイルを実現したところが魅力的。エンジンはリアにあります。

マツダ・キャロル (1962) リアエンジンの2ドアとして登場し、後に写真の4ドアが追加されました。サイド面をえぐることで質感の高い造形を作っています。リヤウインドウは世界的に注目されていた切り立ったクリフカットを採用。狭い室内でもリアシートのヘッドクリアランスを確保することが狙い。

ミニカ72 (1971) 1969年に登場した2代目ミニカ70は年ごとに次年を車名につけてマイナーチェンジをしていました。初代からのFRレイアウトで、四角いスタイリングが特徴です。ややリアが下がって見える造形で、スピード感を演出しています。

 

軽自動車は以前より日本独自のサイズとして発展してきました。軽自動車の概念が日本で生まれたのは昭和24年(1949年)にまでさかのぼりますが、だいたい今の形になってきたのが昭和27年 (1952年) あたりからでしょうか。昭和29年 (1954年) には排気量はエンジン関わらず360ccに統一、昭和35年(1960年)には定格出力が廃止されたのです。当時の3サイズはL3.0×W1.3×H2.0m以下でした。

今のサイズからすると驚くほど小さく、これで人がまともに乗れるものが作れるのか? というサイズでしたが、1958年(昭和33年)に登場したスバル360が乗用車として成立しうることを証明したのです。その後、サイズは1976年(昭和51年)にL3.2×W1.4×H2.0m、排気量550cc以下となり、1990 年(平成2年)にはL3.3×W1.4×H2.0m、排気量660cc以下となりました。そして現在のサイズは1998年(平成10年)に改められたもので、L3.4×W1.48×H2.0mとなっています。

このように、より制約の強かった360cc時代なのですが、それでもかなり個性的ですよね。それはおそらくクルマというものに憧れた時代に、みんなの身近なアイドルとして存在していたのが軽自動車だったからかもしれません。いろんな個性的なアイデアがどんどん生まれ、市場で磨きあげられた時代でもあったのでしょうね。

次回の土曜日は360cc時代のホンダ車を振り返ってみたいと思います。

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(MATSUNAGA, Hironobu)

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