電気自動車の急速充電は直流で5分以下に短縮できる?

急速充電用電力供給装置および急速充電用電力供給方法の特許出願図面
急速充電用電力供給装置および急速充電用電力供給方法の特許出願図面

電気自動車の急速充電、現在の標準であるCHAdeMO方式では、おおむね30分から1時間で電池容量の80%を充電する仕様となっています。しかし、もっと短い時間で充電できないか、と様々な研究がなされていることも事実です。

最近では急速充電器の中にバッテリーを搭載し、電気自動車に大電圧で一気に流し込もうとする「超急速充電器」の実証実験が始まろうとしているのです。
株式会社エネルギー応用技術研究所では、この大電圧での充電に直流電気を使う研究を行っています。
http://www.greenp.jp/index.html

電気自動車に車載されるリチウムイオンバッテリーは直流電気で蓄電します。CHAdeMO方式の急速充電器はこのバッテリーに対して交流電気を流すため、クルマ側の充電アダプターとバッテリーの間にAC/DCコンバーターを入れて直流に変換しています。株式会社エネルギー応用技術研究所の「超急速充電器」は、バッテリーを搭載してそこから大電圧の電気を一気に流すのですが、このバッテリーは直流電気で蓄電されます。車載のバッテリーも直流電気ですからAC/DCコンバーターによるロスも無く、過充電保護や充電の制御装置だけを車につけてやればよい、ということでクルマ側の充電装置が簡略化できるというメリットがあります。このように簡略化した充電装置をあらゆるクルマにつけてやれば直流大電圧大電流で、5分くらいの時間で充電完了となるわけです。
バッテリーの容量が大きければ1つのシステムで複数の電気自動車に充電できるとことになるので期待のシステムと言えるでしょう。 栃木県の協力で1、2年以内に実証実験できるメドもつきつつあるということです。

JFEエンジニアリングは若干違うアプローチで「超急速充電」をしようとしています。
http://www.jfe-eng.co.jp/release/news10/news_e10006.html

急速充電器の中にバッテリーを搭載し、そこから大電流で一気に充電すると言うのは前述の方式と同じですが、 こちらは電気自動車に流す電気に交流電気を使います。
CHAdeMO方式の急速充電器の場合、30分充電ができる高容量タイプは日産製を除き全てが、設備容量50kwという仕様なので変電設備を別途必要とします。これは電気の法律で決まっていることなのでどうしようもありません。 これにかかるコストは300万円以上になります。しかしJFEエンジニアリングの「超急速充電器」は設備容量15kwなので変電設備が必要ありません。この15kwの電力で「超急速充電器」の中のバッテリーに充電しておき、電気自動車へはそこから5分で電池容量の70%以上の充電をしようということなのです。
ここまで読んで、なんで交流なの?という疑問が生まれませんか?
じつはJFEエンジニアリングのシステムの場合、「超高速充電器」の中のバッテリーの蓄電量が万が一ゼロになったとしても15kwの容量で中容量急速充電器として稼動させることができるようにするために交流電気を使うのです。その場合は日産リーフ相当の24kwhのバッテリーで1時間20分ほどの時間がかかります。

大まかにふたつの事例を紹介しましたが、今後もこのような研究は、次々と成果が発表されることでしょう。

ただ、今現在発売されている電気自動車はCHAdeMO方式の急速充電しか対応していません。節電のためにも、昼間は急速充電を使わないで、なるべく夜間に自宅で200V充電を行うように心がけてください。CHAdeMO方式で急速充電すると、私の家の電気使用量の二日分を30分で使っちゃう計算になりますから。

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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