新型ソリオを見ていたら、スズキの底力が見えてきました

ホントに変なクルマですよね、ソリオって。全長3710mm×全幅1620mmのサイズは軽自動車と一般的なコンパクトカーの中間くらいだし、1765mmという屋根の高さはまるでミニバン。そんなソリオで誰もが驚かずにはいられないのはやっぱり、呆れるほど広い後席スペースじゃないでしょうか。足元の広さ(前席背もたれまでの間隔)なんて、コンパクトカーの標準的サイズの約1.5倍という驚異的な広さ。ゆったりと足を組めるどころか、床に座ってくつろげちゃう(←走行中はやってはいけません)くらいなんだから素晴らしいです。凄いぞソリオ! ちなみにこの足元空間の広さは、ミニバンの日産・セレナでシートスライドを最後部にしたときの2列目と同じくらいです。やりますねぇ。あと、天井の高さもスゴイです。室内高は1345mmあり、これって平均身長の小学校4年生なら室内に立てちゃうことになるんですよ。

そんなソリオは、いわば「3列目のないミニバン」。ミニバンみたいに広いクルマが欲しいけど、3列目はいらない!っていう人にここまでジャストミートなクルマはありません。

でも、ソリオの本当の凄さは別にあるんです。それは、計画販売台数。国内専用車なのに、発表されている月間目標販売台数はわずか1000台という少なさなのですよ。近いうちに三菱からもOEM販売がはじまるようですが、多く見積もっても2台を足して1500台程度でしょう。

たったそれだけの“少量生産規模”で新規にクルマを開発できてしまうスズキの体制って、よく考えてみるとかなりの底力ですよ。というわけでトヨタや日産なんかはきっと今ごろ、このスズキの小回りのよさと生産効率の高さに大注目していると思われます!

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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