ドイツが本気で考えたファミリー・ライフ【VWシャラン】

モノフォルムの先代シャランが15年ぶりにフルチェンジしました。

写真で見るとシャランはゴルフやポロのようなコンパクトなモデルに見えますが、じつはそんなことはありません。全幅は1910mm、全高は1750mm、全長は4855mm、重量は1830kgもあります。日本的にはかなり大きいミニバンなのです。

ところがエンジンは1.4リットル(!)と非常に小さいのです。といっても、ターボとスーパーチャージャーを装備して、110kW(150ps)/240Nmと、ノンターボの2.4リットルエンジン程度の力は持っています。

最近のヨーロッパ車はダウンサイジングの傾向が強く、特に小さなエンジンを搭載する方向にあります。経済性、燃費にとって小排気量が有利ということでこうした方向に進んでいるのです。すこし前まではターボエンジンだけだったのですが、VWではスーパーチャージャーとターボチャージャーを両方つけて低速などのでの力不足を補っています。おまけに輸入車初のエコカー減税75%の認定を得ています。

最大の特徴はスライドドアの採用です。先代のシャランも普通のスウィングドアでしたが、ヨーロッパにはボックスタイプの商用車以外ではスライドドアがきわめて少ないのです。日本では当たり前ですが、スライドドアのレールを上下につけるためのスペースを設けなければなりません。いってみれば乗用車の概念とはかなりちがうボディ構造となるのです。フロアも高くなりますし、ルーフも制約を受けますし、重くもなります。

しかし、このモデルの登場によって、ヨーロッパもかなりミニバンに注目してきたことがわかります。乗員は7人となりますが2列目、3列目シートは倒すと四角いフラットな荷室ができるなど、ドイツ車らしい徹底した作りです。

日本人にはそれほどの徹底ぶりは必要ないかもしれませんが、友達の引越しには絶賛される広さです。

(MATSUNAGA, Hironobu)